今では5人に1人は帝王切開で出産しています。
帝王切開で一番気になるのは痛みではないでしょうか?
この記事では、帝王切開の痛みや痛みに対する治療、産後の抱っこなどの不安に対して、助産師としての私の考えをお伝えしていきます。
帝王切開分娩が予定されている方にも、そうでない方にも、家族の方にも正しく理解してもらい、不安を少しでも軽減できればと思います^^
帝王切開分娩はどんな人がするの?
帝王切開分娩とは、子宮(お腹)を切って、赤ちゃんを取り出す分娩方式です。
あらかじめ帝王切開分娩になることが決まっている人は
その他にも基礎疾患や合併症の関係で帝王切開が決まっていることもあります。
あらかじめ決まっている場合は、手術の前日から入院することになるので、心の準備もある程度できているかと思います。
では緊急で帝王切開分娩になる場合はというと
大まかに2つあって、
②経膣分娩ができない場合
詳しく説明するととんでもなく長くなってしまうので、大まかに説明していきます。
赤ちゃんのしんどいサインがある場合
前回の記事で出産の時にCTGという機械をつけて出産すると書きました。
https://haruhal-blog.com/nst-midwife-hukusou/
この記事に書いています。
CTGの検査は、赤ちゃんの心音とお母さんのお腹の張りを確認しています。
この機械で赤ちゃんの心音にしんどいサインが確認された場合は、赤ちゃんに負担がかからないよう、帝王切開分娩になることがあります。
経膣分娩ができない場合
その状況になれば医師から説明がありますが、
・陣痛が強まらず、促進剤を使っても子宮口が開かない
・子宮口は開いていても赤ちゃんが降りてこない
この場合は、帝王切開分娩になります。
帝王切開ですが、切り方がおへその下から恥骨まで縦方向に切る方法と、恥骨の上を横方向に切る方法の2つがあります。
予定帝王切開の場合は基本的に横切開ですが、緊急帝王切開の場合は、急いで分娩する必要があるので、縦方向に切ることが多いです。
帝王切開の痛みは?
そして一番気になる帝王切開の後の痛みですが、帝王切開の麻酔方法により、その後の痛みは変わります。
帝王切開では、基本的には腰痛麻酔という下半身麻酔で手術を行います。
この麻酔は手術後しばらくするとすぐに切れてしまうので、痛みを強く感じることが多いです。
そのため、腰椎麻酔と硬膜外麻酔を併用する病院があります。
硬膜外麻酔とは:脊椎(背骨)の中にある脊髄のすぐ近くの硬膜外腔という場所に、 麻酔薬をいれて、手術部位の痛みを無くす、あるいは軽くする麻酔法です。
手術をする所に合わせて、背中のどこから麻酔薬をいれるかを決め、カテーテルという細い管をいれます。 このカテーテルから麻酔薬をいれて麻酔を行います。参考URL
https://anesth.or.jp/users/common/receive_anesthesia?page=8#:~:text=%E7%A1%AC%E8%86%9C%E5%A4%96%E9%BA%BB%E9%85%94%E3%81%AF,%E3%81%A6%E9%BA%BB%E9%85%94%E3%82%92%E8%A1%8C%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82
硬膜外麻酔は持続的に麻酔が流れているので、痛みを強く感じる方は少ない印象です。
施設によって麻酔方法は違います!!
予定帝王切開の場合は、麻酔の方法も医師が説明して
くれるので、確認しておくと安心です^^
麻酔が切れてしまったらどうする!?
麻酔が切れてしまったらどうしよう…と不安になっているかもしれません。
安心してください。
もちろん痛み止めを使います!!
アレルギーを確認し、問題なければ点滴や座薬で痛みをコントロールします。
手術当日が一番痛みが強いので、手術当日は基本的に点滴で痛み止めを使います。
痛みはどれぐらい続くの…?
ただ、これは個人差がとても大きいのでなんとも言えないところです…><
手術翌日からスムーズに動ける方もいますし、4日後にやっと動けるようになってきたという方もいます。
痛みの感じ方は人それぞれなので、痛み止めを
飲みながら、動いていきましょう♪
痛みがある中で育児ができるか不安…
「痛みがある中で育児ができるか不安なんです…」
帝王切開予定の方からこのように言われたこともあります。
実際お腹には大きな傷があるので、痛みはかなりあります。
そのため、授乳中でも問題なく使える痛み止めを飲みながら育児をしていくことになります。
お母さんは出産という大仕事を終えましたが、ここから待ったなしで育児が始まります。
そしてここからが本番です。
初めての出産の方は特に慣れない育児で不安な中、痛みが強いと思うように体が動かず、大変です。
そのため、少しでも楽に授乳ができるように姿勢を工夫してみたり、環境を整えたりと助産師が様々な方法を提案します。
授乳中子宮が収縮するような痛みがありますが、「オキシトシン」というホルモンの影響です。
子宮が収縮することで、しっかりと悪露(出血)が出ます。
少しでも負担が少なく育児ができるよう一緒に考えていきましょう^^
下着やズボンのゴムが傷にあたって痛い…?
ものによっては、そう感じる人もいます。
ただ妊娠中に着ていた洋服や、産後の授乳用パジャマなどは、ゆったりと作られているものが多いので、問題ないです^^
傷が気になる場合は帝王切開後専用の下着なども販売されているので、購入してみるのもいいかもしれません。
陣痛と帝王切開どちらがしんどい?痛い?
たまに聞かれる質問ですが、これもなんとも言えません。
陣痛は本当に痛いですし、徐々に痛みが強くなります。
帝王切開は麻酔が効くと、痛みを強く感じることはないですが、手術後に痛みが強いです。
どちらがという比較はできないですね。
楽でよかったね
「帝王切開なら、楽でよかったね」と心ないことを言う人がいまだに多くいます。
そんな人に伝えたいのは
どんな方法で出産しようと楽なんてことはない!!!
陣痛は確かに痛みが強くしんどいですが、帝王切開だって痛みは強いです。
それに帝王切開になった理由は人それぞれですが、赤ちゃんの安全を優先して帝王切開にした人も多くいます。
どんな方法でも立派なお産ですし、楽なんてことはありません。
痛みと闘いながら育児をしている多くのママに
そんな心ない言葉を言わないでほしいです。
帝王切開は痛いのか?
そう聞かれると間違いなく痛いです。と答えます。
ただ痛みの感じ方は人それぞれなので、薬を定期的に飲む人もいれば、数回飲めば痛みをコントロールできる人もいます。
どんなに痛みが強くても、退院して1−2週間すればほぼ痛み止めを飲まずに過ごせるという人が多いです。
よくなるので、少しずつ慣れていけるといいですね。